キングダム/見えざる敵

north pole『キングダム/見えざる敵』を観る。世界の警察官アメリカがアラブに出かけていってテロリストをやっつける、といえば、どんな映画だという話だが、実にアメリカの警察であるところのFBIが望まれもしないのにサウジアラビアに出かけ、アメリカの原風景であるところのベースボール大会で起きたテロ事件の捜査をするという建て付けであり、いや、あらかじめ容疑者はアブ=ハムザだということが「判って」いるのだから捜査するまでもないのだが、要は潜伏先を突き止めようということなのかどうか、そのあたりが今イチ判然としないものの、どうやら捜査官はやっつけてやろうという目論見で、拉致やら奪還やらを絡めつつ結構、派手にドンパチもやったりする。結局のところ、このあからさまな構図は批判的な意図を有するものであろうが、ヒーローがジェイミー=フォックスであり、痛手はあってもそれほど反省している様子はないので結末も放り出されたままである。渋いといえば渋い映画であるものの、それを求める人はどうやら少ないであろう。