『グッド・シェパード』を観る。久しぶり、ストイックな映画を観た気がする。ピッグス湾事件であったかも知れない情報漏れを題材に、これを解明していく主軸はそれなりに明解であるものの、エスピオナージュの世界はディテールに凝っていて時間は錯綜し何しろ淡々としており、『ロシアハウス』を想起させる。説明が排除されているので、咀嚼にはかなりの背景知識が要求され、一瞬の映像が別のシークエンスと呼応していたりするので注意深さも必要というあたりが結果、かなりの重厚さを醸し出している。監督としてのロバート・デ=ニーロもなかなかいい仕事をしていて、167分という長尺を長く感じさせない。傑作であろう。