『消えた天使』を観る。『インファナル・アフェア』のアンドリュー=ラウ監督によるハリウッド第一作。主人公こそリチャード=ギアというビッグネームだが、司法ではなくDPSの職員を主人公に性犯罪者登録監察を題材とした渋いストーリーで、リチャード=ギアが明らかにヒーローではなく彼岸の人になっているあたり、ありきたりの事件ものではない。ことさら派手な展開でもなく、内面に入っていく種類の物語だが、ハイキーでショッキングな映像とテンションの高い演技が全体の緊張感を持続させるのでなかなかに観られる。デビューとしてはいささか地味めとはいえ、演出は手堅いものであって、役者の立ち位置ひとつに意図を感じることができる監督なので結構、好きである。