魍魎の匣

『魍魎の匣』を観る。『姑獲鳥の夏』で懲りてはいるのだが、上海ロケによる昭和27年は一種、異様な雰囲気を醸し出しているという話なのでついつい。いやもう、どう見ても大陸にしかみえないので、ちょっと大変なことになっている。椎名桔平が関口巽だったりして、もとより原作のイメージがどうとかいう話ではないので、これはまぁ、こういうものだとして(それを言うなら永瀬正敏の関口もたいがいではあったが)。原作に忠実たらんとした前作に比べ、かなり自由な脚色を施してあるのだが、そもそも入り組んだ筋書きであり、原作を知らなければ訳が判らないという映画でありながら、原作を知ればキャラクタに違和感を覚えるというタチの悪いパターンになっている。ヤマ場はちょっとやり過ぎじゃないかというくらいで、京極堂のファンには悪夢であろう。