何となく釈然としない感じで『グリーン・ゾーン』のことを考えている。結局のところ、大量破壊兵器に関する情報操作はチェイニー副大統領からラムズフェルドに連なるネオコンとその意を受けた国防総省の陰謀であるという、要するに現在の通説を前提にすれば、この映画の「つくり」の納得性は俄然高くなる。そういうことだから、情報局の悪役クラークの「動機」がなんであるかは、まぁ、問題にならず、わざわざ語られることはないわけである。だって、そんなことはみんな「知ってる」んだから。であれば、政治的な文脈だとか、歴史的事実がかなり後退していたとしても、それは意図的なものなのかも知れないし、そもそもアクション映画として観るのが正しいということになる。