サロゲート

winter『サロゲート』を観る。近未来社会ものといえば、そのテーマには例えば行き過ぎた管理に対する警鐘とか、アナロジーとしての建て付けがそれなりにあるはずで、サロゲートという代理ロボットが日常の活動を代行する社会ということであれば、PKD的な恐ろしさというようなものが漂っていていいと思うのである。代理ロボット社会の到来が虚栄と危機管理の帰結であるというのであればそれでもいいのだが、それをいわゆる科学技術の発達の結果として現代社会から律儀に延長されてしまうと「あり得ない」感じが強く前面に出てきてしまうと思うのである。ブルース=ウィリスを主演に迎えたからということもあるのかもしれないが、ポリスアクションとしての気配が濃厚で、葛藤は「個人の事情」の階梯に留まって、こちらとしては何でビックブラザーが出てこないのだろうと思うのである。あれやこれやにかなり残念な感じがあって、類型には類型なりの難しさがあるところに異なる類型を持ち込んだ戦略上の間違いだと思えるのだが、「不気味の谷」をちょっと越えた感じのサロゲート達による人形劇チックな画面はちょっとした見ものにはなっている。