『ソルト』を観る。時節もあろうに北朝鮮に捕まり拷問を受けているというシーンから始まって、時間も遅いことだからキリのいいところで止めとこうと思ったのだけれど、怒濤の展開で最後まで。面白い。
今どきスリーパーだとか、ソビエト時代のKGBだとか、一体どうなのよという思いがよぎることもあるにして、いや、結局のところアンジェリーナ=ジョリー版ボーン・スプレマシーという理解が近いのだと考えれば、いろいろ腑に落ちるので因業なことは言わない。
そのアンジー様はいかにも細く、強度的には本来、不安があるところなのだが、過去の作品がそうであったように、アクションはよく絵になっている。もちろんスタントを使っているに違いないのだが、殺陣そのものはちょっと古風な振り付けで、このあたりはもっと物足りないという感じがあるにして。
監督のフィリップ=ノイスは『今そこにある危機』を手がけている人だけれど多少、細部の甘いところがあって、これがポール=グリーングラスであれば相当、違う味付けになったであろうことは間違いない。そうであっても面白いのはアイディアがきちんと練り込まれているからであろう。その無邪気な荒唐無稽さは別として。