『デス・リベンジ』を観る。ジェイソン=ステイサム主演と言うだけで荒々しいタイトルを付けられているが、王と魔法が出てくるオーソドックスなファンタジーである。それもCG主体のテカテカものではなく、今時めずらしいアナログ感の漂う映画で着ぐるみの魔物とジェイソン=ステイサムが格闘したりするあたりが素敵。演出はちょっと古臭いし、繋がりの悪い編集は長めのテレビシリーズをダイジェストしたみたいな感じがあるのだが、悪い魔術師はレイ=リオッタで、リーリー=ソビエンスキーも出演しているしと、キャストはそこそこ豪華。王位簒奪の陰謀があったりもするのに、どこか剣と魔法という雰囲気がないのはそのキャストのせいであろうというのは間違いないとして。ジェイソン=ステイサムが死んだと思われていた世継ぎ、という設定にはやはり無理がある。ファンタジーの記号を用いながら、ファンタジーになれないという不思議感覚を楽しむ余裕がある向きには面白いかも知れないという、実にビミョーな映画である。