夜が明けると雪が薄く積もっていて、かろうじてホワイトクリスマスという風情だが、身を切るような風に想うのは包囲されたレニングラードのことである。12月にはヨーロッパ戦線を扱った映画を観たり、本を読んだりというのがこの数年の傾向で、このところ不動の座を占めていたのは『バンド・オブ・ブラザース』だったのだが、今年は『卵をめぐる祖父の戦争』を読み返してベニオフ恐るべしと考えている。何がすごいかというと著者のデイヴィット=ベニオフの嫁はアマンダ=ピートなのである。従って、この献辞のアマンダとは彼女のことであろう。すごい。
ちなみに小説のほうは、本年度の三指に入る傑作であり、これもまた神話の構造をきちんともつ物語であって、史実の凄惨さと小説の面白さのバランスは傑出している。