ホースメン

moss『ホースメン』を観る。黙示録の四騎士を題材にした猟奇殺人モノのミステリーで、デニス=クエイドが犯人に翻弄される刑事の役。チャン=ツィイーが犯人の一人として登場するのだけれど、あまり見せ場もないし、獄中で主人公に謎かけをするあたりは、もしかしたらレクター博士の役回りに相当するキャラクター設定なのかも知れないが、もちろんその境地には遠く及ばない。『羊たちの沈黙』でレクター博士のエピソードは遠景にあって物語の重層化に寄与していたのだけれど、本作のツィイーは突然、仮面を外して驚かせるための一発芸キャラ、というくらいの意味合いしか読みとれないのが辛い。そもそも何故、自供したのかというあたりが放り出されており、これに限らず登場人物は総じてちょっと支離滅裂なところがあるので、それがザワザワとした不安を掻き立てるというところはあるにして、その程度のことを脚本や演出の功績と誉めるわけにはいかないし、そもそも黙示録も四騎士も、まともに消化できているとは言い難い。思わせぶりなハードディスクの情報とか、回収されない伏線も多く、これって猟奇殺人的状況を張り合わせただけの映画じゃないの?と問いかけてみたけれど、もちろんどこからも返事はなかった。