『ロードサイド・クロス』を読み終える。これまでのジェフリー=ディーバーの読者であれば全体としてどこかで読んだ気がすると思うに違いないくらい、見事に定型化されたストリーテリングではあるものの、そこはそれ定型の面白さというものがあって、つまり作品中、何度となく言及される『CSI』や『24』みたいなものである。何しろ、新たに『007』のシリーズを書き下ろそうという話がきこえてくるくらい、ジェフリー=ディーバーという人は様式美を愛する人であるに違いない。その職人技が生むドンデン返しの執拗さは例によって念の入ったものであり、いろいろあっても十分楽しめる。