『ヴィクトリア女王 世紀の愛』を観る。『プラダを着た悪魔』でやっていた意地悪な役からは想像もつかないのだが、エミリー=ブラントはそのままヴィクトリア女王の貫禄でなかなかの役者ぶりである。ヴィクトリア女王が即位して夫アルバートとの治世を歩み始める前後を題材として、多少あわただしいものの、見応えのあるロマンスに仕立ててある。王朝の機微のようなものがうまいこと処理されているエピソードの作り方はうまく、演出も手堅い。暗殺未遂事件のどさくさでアルバートが負傷したことになったりするのだが、史実では怪我を負った事実はないというあたりが、まぁ、ドラマであって、そのあたりのお約束を楽しむ種類の映画である。手際は悪くないにしても102分に収めるには題材に無理があって、アルバート公の歴史的な評価ぐらいは頭に入れておかないと展開についていけないかも知れない。