海竜めざめる

ジョン=ウィンダムの復刊『海竜めざめる』を読み始めたら、これが面白くてやめられない。人類の滅亡をテーマとしたフィクションには好みとして執着するほうである。1953年の作品だが、星新一の訳は端正で古びたところがない。この語感のスマートさはそのショートショートに通じるところがあり、むしろ訳者の手柄であろう。それをおくとしても、往時にあって非凡と思われるスケールを感じさせる話であり、名作といわれるのも分かる。