『パリより愛をこめて』を観る。何だか懐かしい邦題だが、リュック=ベッソンの原案によるアクション。監督は『96時間』のピエール=モレル、というわけで前例と同じく、いろいろと悩まずにドンパチをする種類の映画である。ジョン=トラボルタが凄腕のCIAエージェントという役回りで、ジョナサン=リス・マイヤーズがそれに振り回される若手であり、正統のバディものでもある。であるからには、意表をつくところはほとんどないにして、お約束にはお約束の面白さがあるので、そこそこ楽しめる。ロボットのように無表情なCIA要員がアウディを巧みに操るカーアクションの展開はちょっと愉快。この世界では「正義の味方」が無様にやられることはあまり想定されていないのである。リュック=ベッソンはちょっとアメリカに染まり過ぎではあるまいか。