30デイズ・ナイト

yukiyanagi『30デイズ・ナイト』を観る。邦題は『13デイズ』みたいでよく分からないけど、つまり『30 Days of Night』であり、冬になると極夜が30日続くというアラスカ辺境の町で魑魅が跋扈して人々を喰らうという話で、どこか小野不由美の『屍鬼』を思い起こさせる。ということであれば、上下分冊、文庫本なら四巻からなる長大な物語ということになるはずが、113分の映画でやろうというあたりにどうやら無理があって、30日の攻防がせいぜい3日というくらいにしかみえない。何しろ日が昇って沈むという大自然のリズムを演出に使うことができないのだから、そもそも時間の経過を描くことは難しいのだが、わざわざ極夜という設定を選んでいるからにはもう少し芸というものがあってもいいのではないかと思うのである。たった一夜の物語であって何らおかしくないというのであれば、この状況は何のために導入されたのか。
そうはいっても、ところどころみるべきイメージがあって、雪に覆われた町で行われる殺戮の空撮などは現代写真芸術の趣さえある。そう思うこと自体、さすがに悪趣味だろうという気がするにして。