『しあわせの雨傘』を観る。カトリーヌ=ドヌーヴ主演、フランソワ=オゾン監督/脚本だけれど、もったいぶったところは全然なくて、舞台にしている70年代を彷彿とさせる分かり易いコメディに仕上がっている。一方、道具立てやストーリーは実にフランスっぽくて、おそらくはこのようなフランス的心情をフランス風に描こうというのが制作意図ではあるまいか。共産主義の議員が話に絡んでくるというだけで、たとえばアメリカ人にはよく咀嚼できないだろうが、話の展開はさらにその上をいっている。揉めている会社の建て直しを題材として、ハリウッドでは絶対こうはなるまいという筋書きであって、つまりそのあたりが狙いであろう。
カトリーヌ=ドヌーヴの存在感はさすがだけど、往年とは縦横の縮尺が違っている感じ。