『よろずのことに気をつけよ』を読む。文化人類学、ことに呪術の類いを専門にする主人公のもとに持ち込まれた呪符から始まる因縁話という内容は、初期の道尾秀介みたいで、であれば今後に大成する可能性もあるとおもうのだけれど、江戸川乱歩賞受賞作の例によって選評がやたらと面白い。この素材で、選者に京極夏彦がいるわけである。誰か止めてあげて。「作品の根幹を成すだろう知見に対する無理解や誤謬が散見し、それは致命的なレヴェルにまで達していた。材料に対する基礎的な知識不足の感は否めない。」と、おとしてから一応、持ち上げるのだけれど、そっちは三行。