『クヒオ大佐』を観る。カメハメハ大王の末裔を名乗る結婚詐欺師ジョナサン=エリザベス・クヒオ大佐が実在したという事実を咀嚼するだけでも、ちょっとクラクラしてしまうわけである。堺雅人が演じる本作のクヒオ大佐にはそのあからさまな怪しさゆえに冒頭からファンタジーの趣があるが、写真で見る実物のクヒオ大佐はマッカーサー風のシャレにならないオーラを漂わせていて妙なリアリティがある。正直、ことほど左様に、現実のほうが気になって仕方がないのだが、役者は予定的ながらそれぞれいい仕事をしていて、邦画に特有の辛気くささはあるにしても、にやにやという感じで観られる。