『ザ・パシフィック Vol.5』を観る。物語はいよいよ沖縄戦を描くことになるが、これまでと同様に兵士たちの視線からみた戦闘の実際は、いうまでもなく民間人を巻き込んだ悲惨なもので、シリーズの構成上はヨーロッパ戦線におけるアウシュビッツ解放とともに対をなす。員数不足に悩まされ、汚泥の中で、戦争は終わる。
続く最終章ではそれぞれの帰還が語られるが、ヨーロッパでの戦勝から数えれば一年近く後の帰郷には既に熱狂はなく、日常に馴染むための戸惑いが描かれ、その生涯が語られるが、演出としてはちょっとあっさりしたもので『バンド・オブ・ブラザース』のようにドラマチックな感じではない。これはおそらく依拠している原作の志向を端的に現していて、第101空挺師団を取材して書かれた『BOB』は兵士たちの絆を大きな主題としている一方、戦闘当事者の回想をもとにしている本作はそこまで余裕がない感じ。いわゆるキャラの立ち方に違いがあるとすれば、その原因はこのあたりにある。