ステイク・ランド 戦いの旅路

Sky『ステイク・ランド 戦いの旅路』を観る。いわゆる大作ではないし、知った顔といえば『トップガン』でヒロインを演じ、しかしその後の活躍は控えめだったケリー=マクギリス(もちろん25年の齢は重ねている)ぐらいだし、そもそもB級感丸出しの邦題もいかがなものかというところなのだが、これもまた世界が滅びた後を舞台とした物語で、実を言ってそれだけでも加点幅が大きい。
世界観は何だか『WORLD WAR Z』みたいだけど、であればこそ骨の太い感じがあり、シンプルなロード・ムービーであるがゆえに『ザ・ロード』を想起させる一方で、家族を喪った少年が擬似的な家族関係を構築しながら約束の地を目指すというあたりには独自の主題を窺わせて、なかなか奥行きが深い。映像にも線の強い印象があって、アクションも実はキレのあるものだし、物資の窮乏もほどほどといった描き方なので、いろいろと話がはやくてダレるところがない。
この造形で、なんでゾンビではなくヴァンパイアかと思っていれば、”Welcome to Stake Land, kid.”という、一歩間違えれば厨二というセリフで何だか腑に落ちるし、救いの少ない展開を納得感の高い手つきで手繰ってみせる手腕はなかなかのものとみえる。
監督のジム=マイケルという人は、『ネズミゾンビ』というふざけたタイトルの、しかしなかなか評価の高いらしい作品も手がけていて、こちらも観るつもり。面白い。