『ネズミゾンビ』を観る。なかなか面白かった『ステイク・ランド』のジム=マイクルが監督・脚本の2006年作品で、かなり投げやりな邦題にもかかわらず、たとえば『28日後…』あたりと比肩しうる完成度はあって、もう少し評価されてもよいのではあるまいか。『ステイク・ランド』がそうであったように、これも低予算であることは疑いないのだが、忍び寄る災厄がアウトブレイクを経て日常を飲み込んでいくプロセスを、多くの登場人物をつかって、しかしかなり整理された流れで描くことに成功しており見応えがある。カメラマンの経歴もある監督のセンスは暗くてウェザリングの多い画面もそれなりに垢抜けて見せているし、正統ではないとはいえ、ダニー=ボイルと同様、ゾンビ愛が感じられるあたりは評価しなければならない。小道具の使い方もうまくて、無名の役者陣の働きもさることながら、気の利いた演出と伏線の回収が物語の知能を高くみせている。