モンスターズ / 地球外生命体

juneberry『モンスターズ / 地球外生命体』を観る。おどろおどろしい題名の通り、太陽系内から地球に侵入した謎の生命体が跳梁するメキシコを舞台に、国境沿いに広がる隔離地域を横断して合衆国を目指す男女を描いたロードムービー。設定からして『闇の列車、光の旅』みたいだけれど、実は話のほうもそれほど変わらない。つまり見知らぬ男女がアメリカを目指して旅をするうち、心を通わせていく。エイリアンとの戦いよりは、男女がそれぞれ抱える私生活の葛藤と感情の揺れが題材になっていて、それがそれなりに美しい映像で描かれている。一方で、モンスターズの役割といえば、過酷な自然環境の振る舞いと選ぶところがないので、311後の読み方には深みが増しているのではなかろうか。実際のところ、終盤に出てくる破壊された街並みはニューオリンズの廃墟なんじゃないかと思うのである。
低予算で、怪獣の登場は最小限ながら、フォーカスは人間のほうにきっちりあたっており、映画としてはそれなりによくできていて、そんなわけだから侵略ものとしての展開を期待すると裏切られることになるのだが、終末のイメージはしっかりとしたもので、主人公の男が結局のところ、ほぼ役に立っていないあたりもいい。