ラスト・ターゲット

Summer『ラスト・ターゲット』を観る。ジョージ=クルーニーが過去を背負って何故か命を狙われている孤独な男、という設定だけでも楽しみという感じだけれど、イタリアの田舎町を舞台として静かに流れる日常に身を沈める主人公というあたりは期待を上回るカッコよさで、これはちょっと素晴らしい。役者が伴わなければ笑い種というミニマルな物語を相当にうまくこなしていると思うのである。結果、原題の『THE AMERICAN』にはある種、哀切の色調が付与されているのであり、なかなか味わいが深い。
主人公のエドワードが長い待機のあいだ銃のカスタム作業に没頭するという筋書きは、実にストイックな緊張を与えるものであって、これだけでもご飯三杯はいける。加えて時おり娼館に通うというイベントだけで、セリフも少なく説明は最小限というストーリーが、ダレることなく何より面白いというのがスゴいのである。