『[リミット]』を観る。その昔、『フォーン・ブース』というコリン=ファレル主演の映画があって、電話ボックスに足止めされるという閉鎖状況を扱ったサスペンスだったけれど、ライアン=レイノルズが主人公の本作は土中に埋められた棺を唯一の舞台として、携帯電話を使ったやりとりだけで物語が進行し、徹頭徹尾そこから一歩も出ることがないという点で『フォーン・ブース』よりもだいぶ徹底している。舞台装置としては史上最も狭小と認定していいのではないか。これで81分を撮りきっているあたりがまず立派。特異な状況の設定も時節を反映して妙な説得力があるし、携帯電話を使った物語の展開、小道具としての使い方はいずれもよく考えられたもので脚本の出来はなかなかいい。邦題を括っている[ ]は箱に閉じ込められている感じを表現して現代詩みたい。