『借りぐらしのアリエッティ』を観る。床の下の小人たちがニンゲンからいろいろと頂戴しつつ、極めて文化的な生活をしているという設定はいかにもジブリっぽくて普通に楽しめる。小さな人たちによって構築されたシステムの描写は自家薬籠中のものといった感じ。とはいえ、表面張力の様子によって物理の法則を想起させる演出が、一方で小人の小ささを一定に感じさせないのは残念でもあって、シーンによりアリエッティの大きさにバラつきがあるのではないかと思い始めたら何だか落ち着かなくなった。おそらく、そのあたりは考えられていて、つまりサイズの整合はとれているのだろうけど、この細部の調和を確信させる動画であれば、それだけで傑作となっただろう。厳密に設計されたCGでなくても自然であるということが、アニメの世界にはあるはずだと思うのである。