『十三人の刺客』を観る。片岡千恵蔵が主演したオリジナルではなく、三池崇史のリメイク。140分を越える長尺でありながら、戦のシーンがいささか長すぎると思えるぐらいヤマ場が満載であって、何しろ後半はほとんど斬り合っているという感じでダレ場がない。演出はいかにも三池風というところはあるにして、やり過ぎの一歩手前くらいでとどまっており、役所広司と松方弘樹の芸を活かしている。面白い。刺客は13人もいるので、黒沢理論によればちょっと多く、それぞれを区別できるような作りにもなっていないのだが、ストーリーがシンプルなのであまり気にならない。一方、古田新太が芝居をしているあたりはポイントが高い。同様に、何と言っても稲垣吾郎の悪役はサイコな感じが立っており、これも見応えがある。
この物語の白眉は、実は落合宿で待つという物語構造にあって、否応なく日本海海戦を想起させる設定で、このあたりもよく描けている。