広がる放射能汚染という副題がついたNHK『原発危機』の第2回目は、チェルノブイリの立入禁止区域を大幅に上回る汚染となっている原発周辺の状況から、徐々に範囲を広げて、半径100キロを越える地域でおきた放射性プルームによる放射能汚染を説明している。どうにもならん。
見ながら、ほぼ関係のない話だけれど、小出助教が何故、支持されているのかということを、例によって「ヱヴァンゲリヲン」をからめて書いた香山リカの文章について考えていた。この人の文章がほぼ胡散臭いのは、切り出して見せた空想のコンテキストが、実体を説明するのに必ずしも必要なものではないという点に由来しており、その意味で科学の方法から外れていると感じられるからだ。端的に言えば、いったい何だって、そんなどうでもいいことを説明したがるのか?
語られる必要がないことが語られる違和感が、この胡散臭さの正体であるとすれば、語っている本人は恐らくそのことに自覚的ではなく、したがってこの問い自体が無効なのであって、いやはや、世の中にはいろんな人がいるな。
一方、『原発危機』2回目はその副題の通りの構成をもって、今、語るべき内容をきちんと取り上げたつくりとなっている。目下、向きあうべきはこうした現実であり、たとえば小出助教の見識に注目する人々はそのことを知っているだろう。