『彼とわたしの漂流日記』を観る。韓国のファンタジー映画といえば、過酷な現実のすぐ隣にあるという感じの話が多いけれど、これも投身した主人公が漢江にあるパム島に流れ着いて無人島生活を行うという話で、対岸の人口密集地帯を眺めながらサバイバルという導入の設定から、やがてそこに居つくようになるという話の展開が面白い。さらに超望遠でこのオトコを観察するひきこもりのオンナが絡んで来て、物語は風変わりなロマンスに転調するのだが、いささか作りすぎとはいえ、小道具や伏線を回収しながら結末に向かうあたりはきちんとした印象で悪くない。基本はコメディということなのだろうが、大笑いというよりはクスクス笑ってしまう感じで、なかなかの佳作なのである。
韓国映画といえば必ず登場するジャージャー麺がやはり登場するのだが、聞くところではジャージャー麺というのは韓国では庶民の記号であって、この映画でも重要な小道具になっている。