『復讐捜査線』を観る。私生活のゴタゴタばかりが報じられて、あからさまに干されているメル=ギブソンの久しぶりの主演作で、これまた久しぶりという感じで嵌まり役の刑事を演じている。娘として『デビル』のボヤナ=ノヴァコビッチが出ているけれど、あの映画とは全く印象の違う風貌で、まずはそのことに驚く。
娘を殺された刑事がその背後にある陰謀を暴き下手人に復讐するという筋書きは、言ってしまえばこの邦題の通りなのだが、語り口はあまり素直な感じではなくていささか唐突に場面は切り替わるし、116分の尺をフルに使っているわりに終盤の処理は間に合わせたような印象が拭えない。レイ=ウィンストンが不思議な役回りで顔を出していてこの結末を担うことになるのだが、物語上の真の位置づけとしては主人公の分身ということになっており、同じセリフを口走るといった工夫はあるにして、残念ながら大方の反応はびっくりしたということになるのではあるまいか。