復興の道のりは辛く厳しいものになる。もっともうまくいった場合でも計画は複雑になり、事態は紛糾し、全ての人が満足するということにはなるまい。そうした衝突を調整するのが政府の役割であり、政府の支援という言葉が使われるとき、それは単に金銭のことを言っているわけではない。コンセンサスを形成することが難しい事態では、どうやったって憎まれ役ということが有り得る。であればこそ、政府は時に冷徹であり、だがしかしお疲れ様と労いたくなるようなこともあるわけだが。
被災地の知事に面談するにあたって、自らの小物ぶりを誇示してみせた松本龍という復興担当大臣の「至らなさ」については今さら言を重ねる必要さえなく、じきに消滅する内閣の端役大臣であればこそ実害すら生じないという期待もあるにして。
これから長い撤退戦を戦おうというときに、山ほどの不具合、諍いを調停しようという努力を、こうした態度によってあらかじめぶち壊すというのは、真正の愚者が自覚なくしがちなことであり、その責任というのは、何を言ったかによって贖えるものではない。