『英国王のスピーチ』を観る。エリザベス女王自身も観たという本作の脚本は品のあるもので劇的な抑揚が強いものではない。そうした内容に起伏を与えているのは、役者の働きもさることながら、特徴のある画面のレイアウトとカメラの動きであって、時に演劇風でありながら、映画でしかあり得ないポートレート調のバストショットを掛け合い風に繋げた画面は、奥行きがあって構図として雄弁であり、全体を見応えのあるものにしている。 コリン=ファースとジェフリー=ラッシュの演技は今さら言うまでもなく、トム=フーパーという監督の作品は観たことがなかったが、なかなかのものである。