誤算

FlickrにはホワイトハウスのカメラマンであるPete Souzaによる公式ページがあって、既に3,000枚以上の写真がアップロードされているのだが、オサマ・ビン・ラディンの殺害に至った作戦の一部始終をNSCのメンバーが視聴している様子と伝えられる一枚も既にここで見ることができる。
この写真でピントが合っているのは、オバマ大統領その人ではなく、口に手をあてて息をのんでいる風のクリントン国務長官で、こうした細部の確かさが写真自体のメッセージに方向性を与えているあたりは、さすがに専属カメラマンの仕事なのである。
本邦における同様の例を不幸にして知らない。
大統領が行った演説についても、文脈を子細に見ればその底にはたとえば大統領選の最後、ノースカロライナでの演説に通じるような流れがあって、スタンスが一貫していることについては疑いがない。
その文脈において、今回の作戦というのは秘密裏の暗殺作戦であってはならなかったということなのかも知れぬ。
政治的なパワーというは、おそらくこうした文脈の一貫性を維持することにより培われる資産であり、このたびの事件においても熟慮がされたはずである。誤算があったとすれば、相手が非武装であったということかも知れず、この大きな齟齬はストーリーそのものを揺るがす可能性がある。