『食べて、祈って、恋をして』を観る。ジュリア=ロバーツは危ない橋を渡っている。そもそも過剰な自意識の発露としての自伝を映画化してしまうという例は、最近では『ジュリー&ジュリア』があって、あのエイミー=アダムスもかなり鼻持ちならない感じがしたものだが、この映画も相当なものである。何しろ今どき「自分探しの旅」だ。挙げ句、インドで瞑想である。バリでブラジル人と恋に落ちたりするのである。すごいな。
観光映画としては、それなりに土地の魅力というものを伝えていて、まずイタリアの料理は旨そうなのだが、それにしたってパスタとピザというセンスだから、あとは推して知るべし。徹頭徹尾、陳腐なツーリズムから抜け出すことが出来ていないのに、そのことに無自覚であるというあたりが全体の構造を説明している。
原作者のエリザベス=ギルバートという人は、典型的なアメリカ人というべきだが、ほぼ同世代ということに気づいて何だかくらくらしてしまう。このライフスタイルを日本ではフーテンと呼んでいたわけだが、それも滅びて久しいとばかり思っていたのである。