『エッセンシャル・キリング』を観る。アフガニスタンで米兵を殺して捕らえられた男が、送られた雪の山中での事故を契機に脱走し、極限状況のなかで生きようとする。主人公の男をヴィンセント=ギャロが演じているけれどセリフは一切なく、何よりアフガニスタン人のムハンマドにしか見えないところがすごい。雪深い森林の美しい風景のなかで、ただ逃げるだけの83分といえばその通りだがテンションは維持されておりダレ場はない。象徴としての白馬の使い方が余韻を残し、一体なんなんだという疑問が残るとしたら、それは人生がそうなのである。