『カエル少年失踪殺人事件』を観る。頓狂なタイトルだが、韓国の実際の未解決事件を題材としており、当地では「カエル少年事件」として有名であるらしい。「カエルを捕まえに行く」と言って行方不明となった五人の子供達が10年後に白骨化した遺体で発見され、殺人の疑いが強かったがそのまま時効となった事件をもとにしている。
韓国映画では『殺人の追憶』も同じような未解決事件の映画化だったけれど、かなり大胆に犯人像を特定していて迷いがない。ちょっと検索した限りでは、そうした通説があるわけでもなさそうなのにフィクションを織り交ぜて結論し迷いもないというのは、如何なものかと思うのだけれど。
それ以前に、事件をメディアが騒ぎ立て、関係のない人を犯人扱いするという、いわゆる捏造の構図が物語前半の主要な筋書きであり、主人公にはヤラセで左遷されたプロデューサーを据えるという確信犯ぶりなので、もう何を考えての映画化なのかは理解の埒外にあるとして。
そうした倫理的な立地を考えないとするならば、事件映画としての出来はかなりよいもので、相当に嫌な奴として描かれる主人公が事件に巻き込まれながら変貌するというあたりが描かれており、ミステリの解明の面白さもいくつかあって、132分に弛みがないのは脚本まで手がけている監督の功績によるものであろう。