『キリング・フィールズ 失踪地帯』を観る。サム=ワーシントンとジェシカ=チャステイン、クロエ=グレース・モレッツという、いわゆる旬の三人がクレジットされており相当な豪華キャストで、もちろんそれぞれは存在感を存分に示してはいるけれど、主役というべきは『グレイズ・アナトミー』のデニーことジェフリー=ディーン・モーガンであろう。原題は『Texas Killing Fields』で、テキサス州の湿地で起きている幾つかの失踪殺害事件を題材としているのだけれど、既に起きている事件そのものは後景化して、モーガンが演じる信仰の篤い刑事が状況をどう収拾するかに焦点は向かう。向かうのだが、直線的には進まないので、美味しいところはサム=ワーシントンがもっていく感じ。バディものというよりは群像ものっぽい人間重視のつくりが何となく煮え切らない印象を残し、結果として浮き彫りになるのは何かと辛いテキサスの風土であって、そういう意味ではタイトルが意図する通りの内容にはなっている。監督はマイケル=マンの娘、アミ=カナーン・マンでその第一作であり、この不思議な読後感はちょっとした力量不足による疑いもあるのだが、役者にはそれぞれ印象的なカットが用意されていて、趣味そのものは悪くない。