『ゴーストライター』を観る。ロマン=ポランスキーがロバート=ハリスの原作を映画化したサスペンス。編集はスイスに拘留されているときに行われたとか。
英国の元首相の自叙伝を書き直すことになったゴーストライターが、よくわからないまま謀略に巻き込まれるという筋書きで、ユアン=マクレガーが「家政婦は見た」みたいな状況におかれて方向も見えないまま進む物語は全編が背景に悪天候をおいた灰色の印象で、謎の正体が一向に知れないという話でありながら、悪くないテンションを保っている。
主な舞台はマサチューセッツ沖の島という設定で、ナンタケット風の広がりがとてもいい感じなのだけれど、そこは米国に足を踏み入れられない事情をもったポランスキー監督のことなので、撮影地は主にドイツということらしい。全く不自然には見えないにして。ミステリとしての細かい建て付けはともかく、全体の雰囲気は個人的な趣味に合ったもので、かなり気に入った。