『ダークナイト ライジング』を観る。何か変なタイトルとはいえ、こうした手の込んだ作品を劇場で観ていない人生のほうにより大きな問題があるとは言えそうだ。167分も尺があると、途中でトイレ休憩が欲しいくらいだけれど。
『ダークナイト』の印象があまりにも強いがゆえに、もしかしたら評価が分かれてしまうかもしれない感じはあるものの、フルコースというべき本作が楽しめないのであれば、もちろんいかなる大作も楽しめないであろう。まぁ、8年後であるとか、地下に3ヶ月とか、主に時間軸に関していささかヘンなところはあるにして。
振り返ると『ビギンズ』の頃とはだいぶ雰囲気が変わっているけれど、以前の設定を上手く使ってきれいにトリロジーをまとめている。
アン=ハサウェイもジョセフ=ゴードン・レヴィットも好印象。マスクをつけたベイン役のトム=ハーディは、素顔の面影が窺えず、ちょっとびっくりするくらいで、メイクをしてもヒース=レジャーそのものだったジョーカーとは全く違って、役者的には気の毒といえば気の毒。そしてマイケル=ケインは、さすがにちょっと年老いてはいるけれど、まだまだ健在で、もしかしたらこれが一番嬉しい。
時間軸の話もさることながら、気になったのは飛翔兵器の運用の部分で、いかにオーバーテクノロジーといえどもああいうものを運用体制抜きで語るのは無理があって、このあたりのディテールがあれば満足度はケタ違いに向上したに違いない。