ディア・ブラザー

Suwa-ko『ディア・ブラザー』を観る。殺人の罪を着せられて終身刑となった兄の無実の罪を晴らすために自ら弁護士となって奮闘する妹にヒラリー=スワンクを配している。その兄がサム=ロックウェル。実話をもとにしているだけに話は割と地味だし、このキャスティングなので華やかなところは全くない。冤罪という理不尽に、もちろん登場人物は腹を立てているので語気は荒く、家族の理解があるわけでもないという状況なので、余人には窺い知れぬ兄妹の絆だけを動機として物語は進み、容易には感情移入を許さない感じなのでドラマとしての面白みは今ひとつ。もちろん、そんなものは実話に求める筋合いでもないのだが、結局のところ、であるが故に孤立無援の闘いをすることになったのであろう現実の、リアルな写しとなっている。ヒラリー=スワンクとサム=ロックウェルの演技には意外性もなく、全体としての取り柄は真面目なことくらいで、何でも映画化したがるのも宿痾のひとつではあるまいかと思ったことである。