ドラゴン・タトゥーの女

winter『ドラゴン・タトゥーの女』を観る。ダニエル=クレイグが主演ということで、何の疑問もなく舞台はアメリカあたりになるのだと思っていたのだけれど、平然と原作通りのスウェーデンで物語は展開し、ちょっと面食らう。考えてみれば後見人制度なんかが重要な仕掛けである以上は場所を移すと言っても簡単ではないのだが、そもそも英語劇となっているあたりにそれなりの違和感があって拭えない。話の方はスウェーデン版の映画と同様、ほぼ原作を踏襲したつくりになっているのだが、多少の改変があり、このあたりも含め全体にスマートになっている印象であって、逆に言えばアクのようなものも薄れている。何しろミカエルのくせにとても記者には見えないし、原稿を書いているようでもないのである。残念なのはサンドウィッチが美味しそうには見えないことで、レバーペーストを素っ気なく食べるだけでも印象は変わったとおもうのである。フィンチャー監督の映像表現では、このあたりの生活感は無精髭に集約されており、ダニエル=クレイグの無精髭というのもそれはそれで貴重ではあるにして、『ミレニアム』の面白さとはちょっと異質なのではあるまいかと思うわけである。