ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える

orange『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』を観る。2012年の映画はじめ。
前作と同様、トッド=フィリップスが監督を務めており、キャストもほぼ同じだし、基本的なアイディアも踏襲しているので、早くもお約束を楽しむ展開であって、その意味ではよく出来ている。国境を越えるという副題から何となくメキシコあたりをイメージしていた舞台は、さにあらずタイはバンコクであって、泥酔とか二日酔いというよりはというよりは薬物による記憶喪失というあたりにグレードアップ感があるという種類の映画なので、まぁ、そういうものなのである。この一年も、出来ればそこにある映画をただ受け容れることを旨としたい。
『ダークサイド・ムーン』で多いに存在感を示していたケン=チョンが、ここでも他を食う大活躍で、どうかするとキレ役のアランが霞んでみえる。刺青の意匠で訴えられたとか、ヴィトンが訴訟を起こしたとか、本編よりは画面外の裁判沙汰で話題となっていた感じもあるのだが、それも人気作ゆえであって、役者は今や大物揃いだし、それなりのお金もかかっている様子なのである。三作目はないような気はするけれど。
二番煎じとはいえ、解明の面白さは健在なので実はミステリ愛好家にこそお勧めしたい映画である。であればこそ、一番笑えるのはエンドロールの真相写真のくだりで、このあたりも既に様式的に完成された感じがあるが、今回については何故、指が残されていたのかという最大の謎もこの中で明かされていて、これは必見。