『ポテチ』を観る。例によって、中村義洋監督が伊坂幸太郎の小説を映像化した作品で、本人も顔を出している。今回は濱田岳が主人公を演じており、大森南朋がキーマンである黒澤の役柄で、それぞれ余人に替えがたい適役であり、68分の小品ではあるものの見応えはあって、なかなか楽しい。話の段取り方はいつもの伊坂幸太郎だし、演出の風味も例によって中村監督のものであり、既に定番となった感もあって、それ故に期待通りであり、きれいに収まる終盤の盛り上げ方はちょっと泣ける。邦画で落涙するなど、『サトラレ』以来のことではあるまいか。気合いの入った大作ではないものの、監督が好きな役者を集めて好きな物語を撮った感じが伝わってくる筋のよさがあり、大変よろしいのではないだろうか。