『ヤング≒アダルト』を観る。邦題は何故かヤングとアダルトが近似記号で結ばれていて、どういう意図でこうなっているかは不明だが、内容はといえば40歳手前にして自己中心的でだらしなく、何より「こんなハズではないアタシ」に苦闘している元ハイスクールクイーンをシャーリーズ=セロンが演じている映画で、正真正銘「子供大人」の話なのである。
『JUNO/ジュノ』のジェイソン=ライトマン監督で、脚本も同作を手がけたディアプロ=コディなので、設定から窺えるようにかなりイタイ内容であるにも関わらず、なかなか面白く観られる。シャーリーズ=セロンの駄目女ぶりもいいのだけれど、その日常に始まる冒頭からディテールの描写が冴えていて、たとえば愛用のMacBookは今どき珍しいホワイトなのだけれど、これは薄汚れているのを表現せんがためのものだろうし、コーラの大きなペットボトルを両手で傾けて飲む様子も、つまり乳児が哺乳瓶からミルクを飲むように見えるようになっているし、演出的な配慮がいろいろと行き届いていて唸る。
ロールモデルを参照しないと生きていくことが出来ないタイプの人生というのは、結局のところ成長とは無縁というオチもきれいに決まっていて、壊れた乗り物に表象されるラストはあっさりしているがゆえに素晴らしい。傑作ではあるまいか。