『ラスト・エネミー』を観る。ベネディクト=カンバーバッチが天才的な数学者を演じている監視国家をテーマとしたテレビドラマで、『24』と『ナイロビの蜂』を合わせたような話を軸に全5話にわたってベネディクト=カンバーバッチは出ずっぱりであり、BBCの制作なのでそれなりに手がこんでいて見応えがある。最後は『ファージング』三部作のようなテイストもあって、イギリス人っぽいラストに落ちていくのだが、こういうのは嫌いではない、というか積極的に支持するものである。長いとはいえ、アメリカのテレビドラマのように際限がないというものでもなくて、それなりに起伏があり、よろしいのではなかろうか。ベネディクト=カンバーバッチは天才数学者という設定のわり、その片鱗さえ窺えないのは残念であるものの。ロバート=カーライルが『エネミー・オブ・アメリカ』のジーン=ハックマンみたいな役回りで出演していて、そう考えるとハリウッド映画の影響もいろいろと垣間見えるのだけれど、ここにあるのはいかにも英国風の監視社会で、その息苦しさはテクノロジーに先行するものであり、お国柄というものが反映されているようである。