ラム・ダイアリー

rose『ラム・ダイアリー』を観る。1960年のプエルトリコを舞台に、ゴンゾー・ジャーナリズムの始祖というべきハンター=S・トンプソンがラム酒を浴びクスリをやって、リアル『ハングオーバー!』な日々を送るという映画で、タイトルそのままであり、つまり『ラスベガスをやっつけろ!』の前日譚であって、それが全て。
ジョニー=デップのこのキャラクターへの愛着はわからないでもないけれど、作品の関心がトンプソンその人に集中した結果、他の全ては後景化し、ただ自堕落な生活そのものがクローズアップされるつくりとなっていて、もちろんそこにはジャーナリズムの片鱗すらなく、恐らくもとよりそんなものはなく、サイケな面白みは若干あるにして、結局のところ無頼派の回顧録とみるのが相応しい感じになっている。もちろん、それが制作の意図なのだろうけど、多くの人間はそんなものに関心を払わないであろう。
とはいうものの、時代の印象は悪くない感じで、プエルトリコっぽい雰囲気もそれなりにあり、キャスティングもなかなかのものなので何となく観られてしまう。