『幸せへのキセキ』を観る。廃園となった動物園をコラムニストのベンジャミン=リーが買い取って再生させたダートムーア動物学公園の実話に基づいて、お久しぶりという印象のキャメロン=クロウ監督がマット=デイモンを主人公に据え、十分に劇的な事実に、いささか作り過ぎというべき脚色を加えて、しかし結構、見ごたえのあるドラマに仕上げている。キャメロン=クロウといえば『エリザベスタウン』の監督でもあるので、そりゃどうしたって点数は甘くなるものの。マット=デイモン演じる主人公は半年前に妻に先立たれ、反抗期の息子と幼い娘の子育てに悪戦苦闘しているというあたりから物語は始まるのだけれど、『We bought a Zoo』という原題のとおり、成り行きに従って廃園となった動物園に引越し、これを再開しようとする。古参の飼育員をスカーレット=ヨハンソンが演じていて、そろそろ身についてきた貫禄を発揮している一方、物語を強力に推し進める原動力となっているのは子役のマギー=エリザベス・ジョーンズで、多くの天才子役と同様、妙に世知たけた風の立ち振る舞いが異様な存在感を醸し出している。実はダコタ=ファニングの妹のエル=ファニングも出演しており、子役は誰も大人に負けることなく立派な仕事ぶり。もちろん、マット=デイモンもいいし、兄を演じるトーマス=ヘイデン・チャーチも相変わらず愉快で、ファンタジックなところもある物語があまり嘘くさくなっていないのは、役者の働きによるところが大きい。