『親愛なるきみへ』を観る。ラッセ=ハルストレム監督の作品は嫌いではないのだが、さすがに『HACHI』は敬して遠ざけたところがあって、ちょっと久しぶり。とはいえ、ニコラス=スパークス原作の恋愛小説だから相当に甘ったるそうな感じで、アマンダ=セイフライドが出ていなければこれも通り過ぎていたところである。相手役はチャニング=テイタムで、特殊部隊の兵士という設定には合っているのだけれど、ラブストーリー向きの顔には見えない。
というわけで、いろいろと微妙なところがあるのだけれど、本編の方はそうした些細な懸念を無効化するくらい、予想を大きく裏切る展開で、大向こうには絶対にウケないだろう話になっている。そもそも深く愛し合っている二人が手紙のやり取りをしているだけという現代劇も珍しいが、ストーリーは輪をかけて古風なのでかなりびっくりする。
とはいえ、距離と状況が二人を遠ざけるあたりには拭いようもない説得力があって、ある意味でリアルな物語なのだが、つまりウケないというのはそのあたりなのである。