H=R・ウェイクフィールドの『赤い館』を読む。近々、創元推理文庫から『ゴースト・ハント』と改題されて新装版が出るのだが、国書刊行会版のこれは異様な人影を描いた表紙がちょっと怖い。中身にも、いかにもイギリスの怪奇小説といった短編が詰まっているのだが、あらたに表題となった『ゴースト・ハント』は、因縁のある屋敷からのラジオの実況中継が変異していくという仕掛けであり、POVといわれるドキュメント調ホラー映画をただちに想起させるのだが、こちらは50年も先行しているのであって、小説の奥行きというものにしみじみ感じ入ったものである。