預言者

night『預言者』を観る。いわゆるフレンチ・フィルム・ノワールというには異色というべきフランス映画で、徹頭徹尾、ギャングの話であることは確かだが、しかし物語は主人公のムショ入りに始まり、主として刑務所の中を舞台として進行する。アラブ人種でありながら、成り行きでコルシカ・ギャングに使われ、運命の導きにより何となく成り上がっていく主人公を演じているタハール=ラヒムというひとはこれまでみたことがなかったけれど、存在感のある演技で、塀の中の殺伐とした話だけで150分という長大な尺を保たせている。立派な仕事ぶり。
フランスの刑務所ものを観て感銘を受けるのは、その生態系がアメリカの刑務所もので描かれているのとほぼ同一のそれであるというあたりで、原始的な共同体のモデルのようなものがここにはある。
全体に演出は手堅くオーソドックスなもので、少しばかり魔術的なシーンも混じるのだがそのあたりも悪くない。