『127時間』を観る。ダニー=ボイルが実話をもとに脚本を書き、監督をした映画で、昨日の『サンクタム』に引き続き人外の僻地における遭難を題材にしている。そして、この種のサバイバル話がことのほか苦手である。生き残れる気がしない。
本作は主人公のアーロンを演じるジェームズ=フランコのほぼ独り舞台だが、代表作というべき熱演であって感心す る。ビデオカメラに向かって語るという作劇上の工夫は、この演技により力を得て大きな見どころとなっている。ダニー=ボイルの演出も相変わらず軽快なものであり、シンプルなストーリーを起伏に富んだものとして融通無碍。このドライブ感はかなり心地よい。物語の終盤、いわば悟りの境地に至る話の運びも見事であり、ダニー=ボイルにとっても間違いなく主要な作品というべき出来であろう。